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バレエやダンスは、優雅で美しい動きを通して私たちを魅了しますが、その一方で身体に大きな負担がかかることも事実です。特に整形外科的な問題として、バレエ・ダンスにおける外傷と障害は避けて通れないテーマと言えるでしょう。では、この二つの言葉は何を意味し、どのような違いがあるのでしょうか。
バレエ外傷とバレエ障害:その違いとは
バレエ外傷とは、外部からの大きな力が一点に加わることで突発的に発生するものです。具体的には、転倒や衝突などによって引き起こされる骨折、脱臼、筋肉や靭帯の断裂などがこれにあたります。一方、バレエ障害は、比較的小さな力が繰り返し、あるいは持続的に骨や筋肉、靭帯、関節軟骨といった組織に加わることで徐々に生じるものです。疲労骨折、腱炎、関節の痛みなどが代表的です。これらの二つを合わせたものが、一般的に「バレエ傷害」と呼ばれるものです。
傷害が起こる背景:外力だけではない要因
バレエ傷害の発生には、単に外部からの力が加わるだけでなく、様々な要因が複雑に絡み合っています。生まれつき骨格や筋肉の形状が特定の傷害を起こしやすいといった遺伝的な要因、とっさの瞬間に身を守るための俊敏性やバランス感覚といった神経系の機能、そして、日々のトレーニングによって培われる筋力、骨格のバランス、身体の柔軟性などが相互に影響し合っています。
発育期の子供たちに集中するバレエ傷害
バレエ傷害の大きな特徴の一つとして、発育期にある子供たちに集中して起こる傾向があります。成長期においては、骨の端にある軟骨組織である骨端線が、成長の過程で外力に対して比較的弱い部分となります。そのため、この時期特有の傷害が発生しやすいのです。また、使いすぎ症候群(オーバートレーニングや過密な舞台・コンクール日程)、誤ったトレーニング方法、スタジオの不適切な床材、足に合わないトゥシューズやバレエシューズの使用なども、成長期の身体に過度な負担をかけ、障害を引き起こす要因となります。
関節軟骨や骨端線の損傷は、一度起きてしまうと後遺症を残しやすいという点において注意が必要です。したがって、成長期の子供たちの些細な訴え、特に痛みの訴えを見逃さないことが、傷害を未然に防ぐ上で非常に重要となります。
アメリカにおけるバレエ傷害治療の特徴:早期リハビリテーションの重視
アメリカには、バレエ・ダンス障害専門の医療機関として名高い「ハークネスダンス障害センター」(ニューヨーク大学医学部関節障害医院内)があります。全米で唯一の専門診療所であり、アメリカ国内はもとより、カナダや中南米からも多くの患者が治療に訪れます。このセンターの特筆すべき点は、バレエ傷害の約8割をリハビリテーションによって完治させているという実績です。つまり、痛みを自覚した早期の段階で適切な治療を受けることができれば、バレエ傷害の多くは比較的短期間で回復に向かうことが可能なのです。これは、バレエ・ダンス傷害を熟知した専門の医療スタッフが常駐しているからこそ実現できることです。
また、アメリカの多くのバレエ団やバレエ学校には、常勤のフィジスト(運動療法士)が配置されています。彼らは、怪我の早期発見と初期対応を行い、傷害が慢性化することなくリハビリテーションによって完治まで導く重要な役割を担っています。フィジストが専門医の診察が必要と判断した場合には、バレエ傷害治療の経験豊富な整形外科医と専門施設での診察を手配します。このように、ダンサーと医療機関の間にフィジストが介在することで、スムーズかつ迅速な治療体制が構築されているのです。
リハビリテーションによるバレエ傷害治療:新たな可能性
近年、欧米のバレエ・ダンス界では、リハビリテーションによる治療がバレエ・ダンス傷害に対する新しい有効な手段として高く評価されています。特に、日本で開発されたBFR(血流制限)トレーニングベルトを用いたリハビリテーションは、バレエ・ダンス傷害の治療において高い効果を上げることが研究によって示され、学会でも注目を集めています。
シンスプリント、アキレス腱炎、足関節や膝関節周辺の捻挫といったバレエ・ダンスに頻発する代表的な傷害に対して、わずか1~2回のリハビリテーションで痛みが消失する症例も報告されています。これらの傷害の特徴として、適切な早期治療を怠ると、治癒までの期間が長期化し、慢性的な痛みに移行してしまう可能性があることが挙げられます。
舞台やコンクールが目前に迫っているような状況では、どうしても治療を後回しにしてしまうケースが見られます。しかし、そのような時こそ、優れた鎮痛効果が期待できるバレエ・ダンスのリハビリテーション治療を検討する価値があります。
メスを入れることなく、リハビリテーションによってバレエ・ダンスの傷害を治療するというアプローチは、日本のバレエ界のさらなる発展に大きく貢献できると信じています。

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