スポーツサービス市場は成長中!BFRトレーナーが知っておくべきトレンドと成功の秘訣2017年度のレジャー白書(2018年8月発行)を紐解き、スポーツサービス市場の現状と未来を考察しました。本稿では、その内容をBFRトレーナーの皆様と共有し、今後のビジネス戦略に役立てていただくことを目的としています。市場の動向を正確に把握し、変化の波に乗ることで、より一層の飛躍を目指しましょう。結論:スポーツサービス市場、特にフィットネスとトレーニング分野は成長の可能性大!地域密着型で顧客ニーズに応える柔軟な経営が成功への鍵。トレーナーという「人」こそが最大の財産。詳細を見ていくと、2016年の余暇関連産業市場において、スポーツ部門は4兆280億円という巨大な市場規模を誇っています。特に注目すべきは、専門チャンネルを中心とした販売戦略により、スポーツウェアやシューズなどの用品の売上が回復・向上している点です。これは、健康志向の高まりとともに、質の高いスポーツ用品へのニーズが着実に存在することを示唆しています。さらに、スポーツサービス市場においては、フィットネスクラブの売上が前年比2.1%増と過去最高を更新。業界全体としても増収増益を達成している企業が多いのが現状です。この背景には、単なるサービス価格の値上げだけでなく、以下の要因が複合的に影響していると考えられます。既存フィットネス部門のリノベーションの成功: 施設の老朽化対策や最新設備の導入など、魅力的な環境づくりが顧客満足度を高め、継続利用を促進しています。サービスの見直し・拡充の成功: 多様化する顧客ニーズに対応するため、プログラム内容の刷新や新たなサービスの導入が奏功しています。スイミング・体操・体育・チアダンススクールの好調: 子供たちの習い事としてのスポーツ人気は依然として高く、これらのスクールが安定した収益源となっています。会員数に関しても、既存店・新規店ともに堅調に推移し、過去最高を記録していることは明るいニュースです。入会者の初期定着率が向上し、退会者が減少傾向にあるというデータは、各フィットネスクラブの努力が実を結び始めていることを示唆しています。新規出店に関しては、依然として小規模業態が中心ですが、その多くは首都圏や都市部に集中する傾向が見られます。一時期増加した女性専用小規模サーキットジムの出店は落ち着きを見せる一方で、24時間セルフ型ジムの出店が増加しており、多様なライフスタイルに対応したジムのニーズが高まっていることが伺えます。市場全体の客単価が大きく上昇している点も重要なポイントです。これは、ホットヨガ、ピラティススタジオ、マイクロジム、ブティックスタジオといった高単価の新規業態の出店が増加し、消費者に受け入れられていること、そして既存の多くのクラブでも値上げが実施されていることが要因として挙げられます。特に、明確なコンセプトと質の高いサービスを提供するブティックスタジオの興隆は、今後のフィットネス市場のトレンドを象徴する動きと言えるでしょう。会員の高齢化は進んでいますが、利用率は伸びているという現状も興味深い点です。中高年層にとって、風呂やサウナといったリラクゼーション設備は依然として人気が高い一方で、これらの設備周りでのクレームが多いという課題も存在します。中高年層の利用実態については、後述の個人のスポーツ参加動向で詳しく見ていきましょう。10歳前後へのトレーニングへの関心と人気が高まっていることも見逃せません。幼児教育への関心の高まりを背景に、スポーツへの取り組み年齢が低年齢化する傾向が顕著です。8歳から12歳を対象としたファンクショナルトレーニングや、2歳から小学生までを対象としたコーディネーショントレーニングが人気を集めており、子供たちの運動能力向上への意識の高まりが伺えます。店舗開発・運営においては、均一的・標準的なアプローチではなく、地域や立地に合わせたきめ細やかな対応が主流となっています。若年層の集客のためには、既存のフィットネス業態とは異なる新たな業態を開発する事業者も増えており、ターゲット層に合わせた柔軟な戦略が求められています。ブティックスタジオの隆盛:コンセプト×ライフスタイル×高単価近年注目を集めるブティックスタジオは、小規模でありながら明確なコンセプトを持ち、特定のライフスタイルを共有する顧客層から高い支持を得ています。その結果、高単価でも十分なブランド価値を提供できる点が魅力です。情報番組などでも取り上げられることが多いのが、DJを配置してナイトクラブのような雰囲気でエクササイズを楽しめる施設や、暗闇の中でランニングに集中できる施設など、エンターテイメント要素を取り入れた新しい形のフィットネスジムです。暗闇という非日常的な空間は、参加者に安心感や集中力をもたらし、エクササイズの没入感を高める効果があると考えられます。また、プロジェクションマッピングやデジタルサイネージなどを活用した先進的なライティング設備を導入するスタジオも増えており、視覚的な演出によって顧客体験価値を高める工夫が見られます。目的志向の多様化:情緒性と成果性を重視中小規模のジムやスタジオ、そして特定の機能に特化した目的志向の業態を開発・出店する動きが活発です。これらの業態に共通するのは、顧客の感情的な満足度(情緒性)と具体的な効果(成果性)を強く訴求している点です。スポーツサービス市場、特にフィットネス業界においては、業態やサービスが非常に多様化しており、まさにアイデアと工夫次第で新たなビジネスチャンスが生まれる時代と言えるでしょう。これからのビジネスの鍵は「人材」レジャー白書では、今後のスポーツサービス市場における最重要課題として「人の介在をサービスデザインにどう取り入れるか」という点が挙げられています。この背景には、人材の重要性が改めて認識され、人材育成への投資が増加している現実があります。自社が提供するプログラムやメソッドの品質向上・改善・革新を目的として、外部研究機関との提携により研究所機能を設立し、バリューチェーンを強化しようとする動きも強まっています。これは、質の高いサービス提供には、専門知識と指導スキルを持つ人材が不可欠であるという認識が広まっている証拠と言えるでしょう。BFRトレーナーの皆様にとって、自身の専門性を高め、顧客との信頼関係を築くことが、ビジネス成功の重要な要素となります。アジア市場への進出:新たな成長の可能性最後に、スポーツサービス業界では、アジア市場への進出を積極的に検討する企業が増加しています。ルネサンスのベトナム展開、グンゼスポーツのカンボジア進出、そしてRIZAPの香港、上海、台北、シンガポールなどへの展開は、日本国内で培ったノウハウを活かし、成長著しいアジア市場で新たな顧客を獲得しようとする動きです。以上が、2017年度レジャー白書から読み解けるスポーツサービス市場の主要な動向です。次に、日本の人々の余暇時間におけるスポーツ市場全体の動向を見ていきましょう。これらの動きを正確に把握することで、今後の店舗経営における確かな一手を考えるヒントが得られるはずです。スポーツへの支出が増加:消費意欲はスポーツに向かう家計収支全体が増加傾向にある中で、家計消費は減少しているにも関わらず、スポーツ観戦、スポーツクラブ、ゴルフ場への支出は2.3%増加しています。特筆すべきは、旅行や観劇といった他の余暇の娯楽消費が伸び悩む中で、スポーツ関連の支出だけが成長しているという点です。これは、2016年のリオオリンピックの影響も考えられますが、その後もこの傾向は継続しており、人々の健康志向とスポーツへの関心の高まりが背景にあると言えるでしょう。余暇時間は減少傾向:忙しい現代人のスポーツとの向き合い方スポーツクラブへの支出が増加している一方で、人々の余暇時間は停滞または減少傾向にあります。「時間的なゆとり感」を示す指数は、過去20年間を通じてマイナス圏で推移しており、現代人の多忙なライフスタイルが浮き彫りになっています。年代別に見ると、男性の10代と60代、女性の60代以上ではわずかにプラスですが、男女ともに30代、40代は極めてマイナスとなっており、働き盛りの世代が時間的な余裕を感じにくい状況が伺えます。このような状況下では、短時間で効果が得られるBFRトレーニングのような効率的な運動方法のニーズがさらに高まる可能性があります。体操やトレーニングの参加人口順位が上昇:手軽な運動へのニーズ余暇時間にどのような活動をしているかという調査によると、全体ではウォーキングが9位、器具を使わない体操が16位、ジョギングやマラソンが20位、トレーニングが30位、スポーツ観戦が35位となっています。特に注目すべきは、器具を使わない体操の参加人口が2016年の2150万人から2320万人に増加し、SNSなどのデジタルコミュニケーションを上回る順位にランクインしている点です。これは、特別な道具や場所を必要としない手軽な運動への関心の高まりを示唆しています。一方、トレーニングについては、順位は上昇しているものの、参加人口は1580万人から1540万人に微減しており、より効果的なトレーニング方法へのニーズの変化が考えられます。年代別に見るスポーツ参加率:10代と70代の男女が牽引スポーツの参加状況を年代別に見ると、全体の29.9%が参加しているウォーキングが9位にランクインし、男性全体では30%で6位となっています。詳細を見ると、10代男性の47%がジョギング・マラソンに参加しており2位、41%がトレーニングに参加しており9位に位置しています。20代では35%がジョギング・マラソンに参加し4位、30代では32%がジョギング・マラソンに参加し5位、50代では31%がウォーキングに参加し5位、60代では48%がウォーキングに参加し2位、70代では59.7%がウォーキングに参加し2位、36%が器具を使わない体操に参加し9位となっています。女性では、10代の41%がジョギング・マラソンに参加し7位、39%がバレーボールに参加し10位、50代では32%がウォーキングに参加し9位、60代では42%がウォーキングに参加し6位、70代では51%がウォーキングに参加し4位、49%が器具を使わない体操に参加し6位となっています。これらのデータから、10代の男女と70代の男女がトレーニングへの関心と参加率が高いことがわかります。また、30代、40代の女性は余暇時間が少ないながらも、何らかの運動へのニーズを持っていると考えられます。これらの層に向けた、短時間で効果を実感できるBFRトレーニングは、非常に有効な選択肢となるでしょう。BFRトレーナーの皆様へ:変化をチャンスに!今回のレジャー白書の分析から、スポーツサービス市場、特にフィットネスとトレーニング分野は依然として成長の可能性を秘めていることが再確認できました。成功の鍵は、地域特性を理解し、顧客の多様なニーズに柔軟に対応できる経営姿勢を持つこと。そして何よりも、質の高い指導を提供できるトレーナーの存在が不可欠です。10代の男女には、運動能力向上や競技力向上に繋がるプログラムを、70歳以上の男女には、健康維持や日常生活動作の改善に役立つプログラムを。そして、多忙な30代40代の女性には、「行きたいけど行けない」というジレンマを解消できるような、短時間で効果を実感できる魅力的なプログラムを提供していくことが重要です。BFRトレーナーズ協会は、これからも皆様のビジネスをサポートするため、最新の市場動向やビジネスのヒントをタイムリーに提供してまいります。共に手を取り合い、BFRトレーニングの可能性をさらに広げていきましょう!