整体師として長年現場に立っていると、季節の移り変わりとともに、ある症状の患者様が「急に増えたな」と肌で感じる瞬間があります。それが、まさにこの時期のぎっくり腰(急性腰痛症)です。「ぎっくり腰は冬の寒さのせい」と思われがちですが、私の経験上、特に気温が下がりだす秋の始まりから、突然の激痛で動けなくなる方が急増します。なぜ、秋の季節の変わり目は「腰の天敵」なのでしょうか。その背景には、自律神経や血流に関する医学的な理由が隠されています。1.寒暖差が引き起こす「腰の冷えと硬直」秋のぎっくり腰の最大の原因は、朝晩と日中の激しい寒暖差です。私たちの身体は、この急激な温度変化に対応するため、体温調節を担う自律神経をフル稼働させます。• 自律神経の負担と血流悪化: 自律神経が乱れると、体温を逃がさないように血管が収縮し、腰回りの筋肉の血流が悪くなります。この血流の低下こそが問題です。• 【エビデンスが示唆するリスク】 実際に、国際的な腰痛研究では、気温が低下するごとに腰痛リスクが有意に増加するという報告もあり、冷えが筋肉に与える影響は深刻です。血流が滞ると、筋肉は酸素不足になり、柔軟性を失い、まるで「冷えた硬いゴム」のようになります。この状態で、無意識に「前屈みになる」「くしゃみをする」といった日常の小さな動きが加わった時、筋肉や靭帯が耐えきれずに損傷してしまうのです。2.活動量増加による急な負荷涼しくなり、「スポーツの秋だ!」と急に運動を始めたり、衣替えや庭仕事で重い物を持ち上げる機会が増えるのもこの時期。柔軟性を失った筋肉に、予期せぬ大きな負荷がかかることで、ぎっくり腰のリスクがさらに高まります。3.整体師が勧める「秋の腰痛予防」3つの習慣秋を元気に乗り切るために、ご自宅でできる簡単な予防法を実践しましょう。1. 徹底的な保温: 腹巻きや薄手のカイロで腰周りを温め、血流を確保しましょう。特に就寝中は、お腹や腰を布団から出さないようご注意ください。2. 優しい寝起き: 寝起きは特に筋肉が固まっています。布団から起き上がる際は、必ず横向きになり、腕の力でゆっくりと体を起こすようにしましょう。3. 専門家による調整: 普段から腰に不安がある方は、気温差による体の歪みや、筋肉の緊張をリセットすることが重要です。整体で全身のバランスを整えることで、ぎっくり腰の「ピキッ」を防ぎましょう。この秋は、ちょっとした意識とケアで、つらい腰の痛みを遠ざけましょう