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BFRトレーナーズ協会では、ガンに罹った人はBFRトレーニングを禁止しています。一方世界の医療機関ではBFRトレーニングをがん患者に利用するような研究もおこなわれています。
多くのがん患者が治療の過程で体力の低下を防ぐために運動の重要性を認識しつつも、体調変化や治療による疲労から運動を避けがちで、その結果、筋力の低下が進みやすくなります。筋力の減少は、日常生活の質(QOL)の低下や合併症リスクの増加をもたらし、場合によってはがん患者の生存率にも影響を与えます。がん治療中であっても、適度な運動は筋力や体力を維持し、生活の質を高め、がん再発のリスクを減少させることが科学的に認められています。
世界保健機関(WHO)の報告によると、がんは世界中で罹患率と死亡率の主な原因の一つであり、2020年には推定1,930万人が新たにがんに罹患し、1,000万人ががんで亡くなっています[ 1 ]。今後数年間でがんの発生率は増加すると予想されており、患者の転帰と生活の質を改善できる効果的な介入の必要性が浮き彫りになっています
運動は、化学療法や放射線治療に伴う副作用の軽減や、心身の健康を向上させるためにも注目されており、特にがん患者に対する運動の利点が多く報告されています。適度な運動を行うことにより、筋力の維持、脂肪の減少、精神的なストレスの軽減が期待でき、結果として生活の質が向上します。加えて、適切な運動習慣を取り入れることで、治療の効果が向上する可能性もあるとされています。がん治療の過程で運動を「補助的な治療」として取り入れることで、患者自身の身体的・精神的負担の軽減にも寄与します。
BFR(血流制限)トレーニングは、血流を適度に制限することで、通常のレジスタンストレーニング(RT)よりも軽い負荷で筋肉の成長を促進する方法として注目されています。特に高齢者や体力が低下した患者にとって、BFRトレーニングは筋肉量や筋力の維持・向上を可能にする画期的な手法です。しかし、がん患者に対する適用には慎重な判断が必要です。BFRトレーニング(血流制限トレーニング)は、筋肉の成長を促すmTORを活性化させますが、mTORは一部のがん細胞の増殖にも関与しているため、無闇にBFRトレーニングを導入することはリスクを伴います。こうした理由から、BFRトレーナーズ協会ではがん患者へのBFRトレーニングの実施を原則として禁止しています。
しかし、個別の状況に応じた運用の可能性も検討されています。例えば、医師の承認のもとで、低負荷かつ短時間で実施するケースでは、適切な指導のもとでBFRトレーニングが行われることもあります。各患者の体調や治療内容、リスク評価に基づき、医師や専門トレーナーと密に連携しながら進めることが必須です。
BFRトレーニングががん患者に対して適切かどうかを明確に判断するためには、さらなる臨床研究が求められます。従来のレジスタンストレーニング(RT)や有酸素運動との比較研究を通じて、BFRトレーニングが持つ長期的な効果やリスクを検証することが必要です。従来のRTは高負荷のため、体力の低下した患者には難しい場合がありますが、BFRトレーニングは低負荷で実施可能なため、特に治療後の体力回復期においては、有用な選択肢として位置づけられる可能性があります。
こうした研究が進むことで、がん患者に対する適切な運動療法の幅が広がり、より多くの患者が無理なく体力を維持・回復できるようになることが期待されています。
がん患者にとって、運動はQOLを向上させ、筋力や体力を維持するために不可欠な要素です。BFRトレーニングは低負荷で効果が得られるため、体力が低下した患者や高齢者にとっての重要な手段になり得ます。しかし、がん細胞の増殖リスクが懸念されるため、医療従事者との連携と慎重な判断が必要です。最適な運動方法を見つけるためには、医師やトレーナーと相談しながら進めることが求められます。
※ Blood Flow Restriction in Oncological Patients: Advantages and Safety Considerations
PMCID: PMC10379018 PMID: 37510502
2023 Jul 19

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